子どものいない夫婦で、夫が亡くなったときの法定相続人は「妻(配偶者)」と「夫のきょうだい(または甥姪)」となります。(夫の父母、祖父母等の直系尊属が、夫の死亡前に全員死亡していることを前提とします)
夫の死後の死後、妻が困らないように、「財産のすべてを妻に相続させる」という内容の遺言書を残しておけば、夫の兄弟には遺留分がないため、妻にすべての財産を相続させることができますが、夫の先祖代々から伝わる土地、建物も、妻の死後、妻のきょうだい(または甥姪)が相続することとなり、妻側の血族に流出してしまいます。
ケース2のように自分の死後、妻の生活は守ってあげたいが、先祖代々の土地、建物は自分側の血族に引き継いでもらいたい場合、下記のような民亊信託契約をすることで、思いを実現することができます。
①駐車場用地を信託財産、ご自身を委託者兼受益者(第一受益者)、ご自身の甥を受託者とします。土地の名義はご自身から姪に移りますが、駐車場の収益は引き続きご自身が受け取ります。
②ご本人の死後、妻が次の受益者(第二受益者)として、駐車場の収益を受け取ります。
③妻が死亡したときに信託を終了し、甥(残余財産の帰属権利者)に駐車場用地を承継させます。