障がいがある子がいる場合、親が元気なうちは身の周りの世話や財産的な援助などをすることができますが、親が年齢を重ねるとともに判断能力が低下すると、子どもの面倒を見ることができなくなり、さらには親が死亡した後は障害がある子の面倒を誰が見るのか?という、いわゆる「親なき後」問題に直面します。
障害がある子が生活に困らないよう、多くの財産を遺してあげても、本人がそれを適切に活用できなけなければ、安定した生活を送ることができません。

①母親所有の土地、建物(3,000万円相当)及び現金(3,500万円のうち2,000万円)を信託財産として、母親を委託者、受託者を長男、母親と二男を受益者とする信託契約をします。土地、建物の名義は長男に移り、現金は信託口口座を開設して管理します。母親と次男には信託財産である現金から月々の生活に必要な金額を支給します。

②母親の死後、次男のみを受益者とします。次男の障がいが重くなり、施設に入所しなければならなくなった時に、空き家になった土地、建物を売却し、施設の入所費用として使用することができます。

③次男が死亡したときに信託を終了し、長男(残余財産の帰属権利者)が信託の残余財産を承継します。

ただし、長男が高齢になってからも受託者としての任務を行っていくことが体力的、精神的にも難しくなっていくことも予想されます。
そのような場合は、信託監督人をつけて共同で信託に関する任務を行うことや、信託契約を終了し、成年後見制度を活用するという選択肢を視野に入れておくことが必要です。