遺言書保管制度について② 遺言者がする手続(1)保管の申請

前回のコラムでは、「遺言書保管制度」についての概要を説明しましたが、今回は「遺言書保管制度」において、遺言者がする手続の説明をします。
現在(令和2年4月29日)までに決まっている遺言書保管の申請手続の手順は次のとおりです。(法務省ホームページ参照)

遺言書保管所に保管の申請をする自筆証書遺言を作成します

基本的な作成方法は通常の自筆証書遺言と同じですが、遺言書保管所(法務局)では自筆証書遺言の形式面のチェックをしたり、自筆証書遺言の原本に加えて電子データ化して保管をする関係上、自分や家族などが保管するものと多少異なる部分があります。

  1. 本文、日付、氏名は必ず自分で書きます。捺印も必要です。
  2. 相続財産の全部又は一部を目録で添付する場合には、財産の内容を自分で書かずに、不動産の登記事項証明書や預金通帳の写しなどに1枚ごとに自署による署名、捺印をすることでOKです。
  3. 封筒などには入れません。

☞ 自筆証書遺言書の様式について

STEP
1
保管の申請をする遺言書保管所を決めます

保管の申請ができる遺言書保管所は下記のいずれかを管轄する遺言書保管所です。
(ただし、既に他の遺言書を遺言書保管所に預けている場合には、その遺言書保管所になります。)
【注意】
通常の不動産登記に関する管轄とは異なる部分があります。
(例:札幌市内は札幌法務局の本局のみで申請を受け付けるなど)

  • 遺言者の住所地
  • 遺言者の本籍地
  • 遺言者が所有する不動産の所在地

☞ 遺言書保管所一覧

STEP
2
申請書を作成します

申請書は法務省ホームページからダウンロードできるようになるほか、遺言書保管所(法務局)に備え付けられる予定です。

STEP
3
保管の申請の予約をします

令和2年7月1日から予約を開始しますが、詳細については決まり次第公開される予定です。

STEP
4
保管の申請をします

下記の書類を揃えて遺言書保管所に保管の申請をします。

  1. 遺言書
    ホチキスでとめたり、封筒に入れる必要はありません。
  2. 申請書
  3. 添付書類
    本籍の記載のある住民票の写し等(作成後3カ月以内の日付のもの)
    ※遺言書が外国語で書かれている場合には、日本による翻訳文の添付が必要です。
  4. 本人確認書類(有効期限内のものをいずれか1点)
    マイナンバーカード 運転免許証 運転履歴証明書 旅券(パスポート)
    乗員手帳 在留カード 特別永住者証明書
  5. 手数料
    保管を申請する遺言書1通につき、3900円を収入印紙で納付します。
    収入印紙は、法務局内の印紙販売所や郵便局で購入できます。
STEP
5
保管証を受け取ります

手続きの終了後、遺言者の氏名、出生の年月日、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載された保管証を受け取ります。
後日、遺言者本人が遺言書の閲覧、保管の申請の撤回、変更の届出をしたり、遺言者の死後、相続人等が遺言書情報証明書の交付の請求等をするときに保管証に記載されている保管番号がわかっていると手続きをスムーズに行うことができます。
また、遺言書を遺言書保管所に預けていることを家族などに伝える場合にも、保管証を利用すると便利です。

STEP
6