遺言書保管制度について⑤ 相続人などがする手続(1)保管の有無の照会

被相続人の死亡後、その相続人等は遺言書保管所に対して、被相続人が遺言書を保管の申請をしていたかどうかを照会することができます。
相続人や受遺者が、遺言書の保管の申請をしたことを被相続人の生前に本人から聞いていない場合、現在は保管制度がないため、自筆証書遺言については、自宅の机やタンスなどを探し、公正証書遺言について公証役場に照会するなどで遺言書の存在を調査することになります。
遺言書保管制度が始まると、これにプラスして遺言書保管所に照会することができますので、現在の制度より遺言書を探しだすことができる可能性が高くなると考えます。
照会は「遺言書保管事実証明書」の交付の請求という方法で行います。遺言書が保管されていないときは「保管されていない」ことの証明がされます。

遺言書保管所への照会(遺言書保管事実証明書の交付の請求)の手順は次のとおりです。
(法務省ホームページ参照)

交付の請求をする遺言書保管所を決めます

全国どの遺言書保管所に対しても、交付の請求ができます。

STEP
1
請求書を作成します

請求書は法務省ホームページからダウンロードできるようになるほか、遺言書保管所(法務局)に備え付けられる予定です。

  • 交付の請求ができる人
    遺言者が遺言書の保管を申請したことや、その遺言書に何を書かれているかは遺言者本人や生前にそれを知らされた人しか知り得ませんので、自身が遺言書に受遺者や遺言執行者等として記載されているかどうかを確認するため、「(何人も)誰でも」行うことができます。
    ※相続人と相続人以外では証明書の認証文の記載方法が異なります(下記「遺言書保管事実証明書の認証文」参照)
  • 添付書類
    【共通】
    ㋐遺言者の死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本
    ㋑請求人の住民票の写し
    【相続人が請求する場合】
    ㋒遺言者の相続人であることを確認できる戸籍謄本
    【請求人が法人の場合】
    ㋓法人の代表者事項証明書(作成後3か月以内のもの)
    【法定代理人が請求する場合】
    ㋔戸籍謄本(親権者)や登記事項証明書(後見人等)(作成後3か月以内のもの)
STEP
2
交付の請求の予約をします

予約方法などの詳細については決まり次第公開される予定です。

STEP
3
交付の請求をします

交付の請求書(及び添付書類)を遺言書保管所に提出します。
送付の方法による交付の請求も可能です。この場合、請求人の住所を記載した返信用封筒と、切手を同封して送付します。

  • 手数料(収入印紙で納付します)
    遺言書保管事実証明書1通につき800円
STEP
4
証明書を受け取ります
  • 窓口での請求の場合
    運転免許証等により本人確認をした後に、遺言書保管事実証明書を受け取ることができます。
  • 送付による請求の場合
    請求人の住所にあてて遺言書保管事実証明書が送付されます。

照会の結果、遺言書保管所に遺言書が保管されていることが判明すれば、遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧を行い、遺言書の内容を確認することができます。

STEP
5

~遺言書保管事実証明書の認証文~

  保管されている 保管されていない
相 続 人 上記の遺言者の申請に係る遺言書が遺言書保管所に保管され、上記のとおり遺言書保管ファイルに記録されていることを証明する。 上記の遺言者の申請に係る遺言書が遺言書保管所に保管されていないことを証明する。
相続人以外 上記の遺言者の申請に係る請求人を受遺者等(略)又は遺言執行者等(略)とする遺言書が遺言書保管所に保管され、上記のとおり遺言書保管ファイルに記録されていることを証明する。 上記の遺言者の申請に係る請求人を受遺者等(略)又は遺言執行者等(略)とする遺言書が遺言書保管所に保管されていないことを証明する。

~遺言書保管事実証明書の見本~

☞ 請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合

☞ 請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合