遺言書保管制度について⑥ 相続人などがする手続(2)遺言書の証明の取得

被相続人の死亡後、相続人や受遺者等が遺言書保管所に遺言書の保管の有無を照会して、遺言書が保管されていることがわかれば、遺言書の内容を実現するために、遺言書の内容が記載されている「遺言書情報証明書」を取得することとなります。
また、関係相続人等は遺言書の原本やデータの閲覧をすることもできます。

「遺言書情報証明書」があると、家庭裁判所の検認をせずそのまま遺言執行ができるというのが最大のメリットです。

なお、相続人等が「遺言書情報証明書」の交付を受けると、遺言書保管所は交付を受けた人以外の相続人等に対して、遺言書を保管している旨を通知することになっており、交付の請求の際には遺言者や相続人の戸籍謄本、住民票の写し等が添付書類となりますので、請求までに時間を要することとなります。

遺言書情報証明書の交付の請求の手順は次のとおりです。(法務省ホームページ参照)

交付の請求をする遺言書保管所を決めます

全国どの遺言書保管所に対しても、交付の請求ができます。

STEP
1
請求書を作成します

請求書は法務省ホームページからダウンロードできるようになるほか、遺言書保管所(法務局)に備え付けられる予定です。

  • 交付の請求ができる人
    ①遺言者の相続人
    ②遺言書に記載された受遺者
    ③認知するものとされた子(胎内に在る子にあたっては、その母)
    ④「廃除する」又は「廃除を取り消す」意思を表示された推定相続人
    ⑤祖先の祭祀を主催すべき人
    ⑥遺族補償一時金を受けることのできる遺族のうち遺言書で特に指定された人
    ⑦信託の受益者となるべき者として遺言で指定された人等
    ⑧遺言による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき人
    ⑨遺言書に記載された遺言執行者等
    ⑩上記の親権者や成年後見人等の法定代理人
  • 添付書類
    ①相続人が請求する場合
    <法定相続情報一覧図の写しがない場合>
    遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本
    ・相続人全員の戸籍謄本
    ・相続人全員の住民票の写し(作成後3カ月以内の日付のもの)

    <法定相続情報一覧図の写し(住所の記載があるもの)がある場合>
    ・法定相続情報一覧図の写し(住所の記載があるもの)

    <法定相続情報一覧図の写し(住所の記載がないもの)がある場合>
    ・法定相続情報一覧図の写し(住所の記載がないもの)
    ・相続人全員の住民票の写し(作成後3カ月以内の日付のもの)

    ②受遺者、遺言執行者等が請求する場合
     請求する人の住民票の写し

    ③請求人が法人である場合
     法人の代表者事項証明書(作成後3カ月以内の日付のもの)

    ④法定代理人が請求する場合
     戸籍謄本(親権者)や登記事項証明書(後見人等)(作成後3カ月以内の日付のもの)

    ※「遺言書を保管している」旨の通知を受けた人が遺言書情報証明書の交付の請求をする場合等は
     上記の書類の添付は必要ありません。
STEP
2
交付の請求の予約をします

予約方法などの詳細については決まり次第公開される予定です。

STEP
3
交付の請求をします

交付の請求書(及び添付書類)を遺言書保管所に提出します。
送付の方法による交付の請求も可能です。この場合、請求人の住所を記載した返信用封筒と、切手を同封して送付します。

  • 手数料(収入印紙で納付します)
    遺言書情報証明書1通につき1,400円
STEP
4
証明書を受け取ります
  • 窓口での請求の場合
    運転免許証等により本人確認をした後に、遺言書保管事実証明書を受け取ることができます。
  • 送付による請求の場合
    請求人の住所にあてて遺言書保管事実証明書が送付されます。

遺言書情報証明書は、家庭裁判所の検認を受けずに、登記や各種手続きに使用できます。

STEP
5

~その他の相続人等への通知~

相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けると、遺言書保管官はその人以外の相続人等に対して、遺言書を保管している旨を通知します。(これが交付の請求の際に相続人の住民票の写し等を添付する理由です)

~遺言書情報証明書の見本~

☞ 交付される遺言書情報証明書のイメージ画像