相続手続について② 相続財産の調査
被相続人の財産については、家族がその財産の存在について知っているものがあれば財産の価格等を調査することもできますが、被相続人しか知り得なかったもの、被相続人ですら存在を忘れてものもあるかと思います。
相続税がかかるかどうかにも関わってきますので、可能な限り財産を調査することが必要です。
被相続人の財産の一般的な調査方法は次のとおりです。
※相続税の評価額は「相続を開始した日」の価格となりますので、注意が必要です。
【預貯金等】
金融機関から残高証明書を発行してもらうことで確認できます。
通帳等が無い場合でも、その金融機関で口座を管理しているものであれば確認が可能です。
なお、相続税の申告等のために、過去にさかのぼって取引明細を発行してもらう必要もあります。
【有価証券(株式など)】
証券会社等から郵送される取引明細書などで確認します。
証券会社等に連絡し、残高証明書を取得することもできます。
【不動産】
権利証、登記事項証明書や毎年市役所から届く固定資産税の納税通知書で確認します。
ただし、納税通知書に掲載されない非課税の土地、建物があることも考慮に入れ、市町村の固定資産税課に名寄帳を請求して確認すべきでしょう。
【自動車、貴金属などの動産】
自動車の価格は「売買実例価格」で評価することとなっています。買取業者の「買取価格」を参考にすることができます。今ではインターネットでも買取価格の見積もりを出してもらうことができます。
なお、自動車が被相続人名義ではなく、マイカーローンの残債があり、自動車ディーラーの名義になっている場合がありますが、この場合は基本的には相続人がマイカーローンの支払いを引き継ぐこととなります。
貴金属については、取引価格や鑑定結果で評価されます。
【貸付金】
被相続人が他人に貸した金銭については、契約書等の書類があれば相手方などの情報がわかり、連絡をすることも可能ですが、口約束で貸していることもあります。預金通帳や取引明細に第三者からの定期的な入金の記載があれば、貸付金がある可能性が高いといえます。
【負債】
住宅ローンや自動車ローンなども(マイナスの)財産です。金融機関から残高証明書を発行を依頼して確認できます。
なお、住宅ローンについては、被相続人が団体信用生命保険(団信)に加入していた場合、死亡保険金で住宅ローンを弁済できるので、借入先の金融機関等に問い合わせをしてみましょう。
その他、金融機関等からの借り入れ、クレジットカードの支払いについては、信用情報機関等に照会をかけることができます。未払の税金・代金についても調べる必要があります。
相続財産の調査の結果、マイナスの財産の方が多く、返済が困難である場合は、法律で定める期間内に家庭裁判所に対して「相続放棄」の申し出をする方法があります。