戸籍を集めるのは難しい?

相続手続には、まず、お亡くなりになった方(以下「被相続人」といいます)の出生から死亡までの記載のある、連続した戸籍謄本等を揃えて、相続人の確定をする必要があります。

一か所の市町村に先祖代々お住まいの方は、その市町村で出生から死亡までの戸籍謄本等が取得できる可能性がありますが、次のような場合は、相続手続に必要な戸籍をすべて揃えるのは手間と時間がかかります。(すべて揃わない場合もあります。)

・被相続人が他の市町村に転居した際、本籍も一緒にその市町村に移した。                   
 転勤が多かった方にその傾向があります。

・被相続人の婚姻前の戸籍(筆頭者が父親など)が他の市町村にある。
 特に北海道という土地柄、本州からの入植者の方や、樺太を本籍とした方がいたため、本州の市町村であったり、樺太の場合は外務省に証明を請求することが必要な場合があります。

・市町村合併などで市町村の名前が変わり、調べるのに時間がかかる。
 最近の市町村合併などは情報も多く、インターネット等で調べることができます(例:留辺蘂町→北見市)が、かなり昔に市町村名が変わっているときは、情報も少なく、インターネット等で調べたとしても、現在の市町村にたどり着くのに結構時間がかかります。

・手書きの戸籍が読み取れない。
 現在の戸籍は東京都の御蔵島村以外の市町村でコンピュータ化されており、活字で作成されているため、読み取れないことはないと思います。しかし、特に明治~昭和初期の戸籍は毛筆やくずし字で手書きされていることが多いため、解読が難しいこともあります。どうしても読み取れない場合は、取得した市町村の戸籍担当に確認したり、次に取得する市町村に戸籍のコピーを同封するといいでしょう。

・過去に戸籍法で規定していた除籍謄本等の保存期間が経過したため、市町村が除籍謄本等を廃棄した。    
「除籍謄本を保管していないことの証明」を発行してもらう必要があります。

・市町村の庁舎に保管していた除籍謄本等が戦争や災害等で焼失、滅失してしまった。
 「焼失証明書」等の証明書を発行してもらう必要があります。

なお、廃棄や焼失等で、全ての戸籍謄本等が揃わない場合は、相続人全員が遺産分割協議書や上申書等で「他に相続人がいない」ことを認めることで手続を進めることができます。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を集めたら、次にその戸籍をたどって、相続人を調査します。被相続人の戸籍を遡って取得している途中で、相続人であろう人(親が死亡したときの子など)の記載があった場合は、被相続人の戸籍取得と並行して相続人の戸籍を取得し始めることも可能です。

なお、被相続人に子がおらず、両親、祖父母が既に亡くなっている場合はその兄弟姉妹、兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、兄弟姉妹の子が相続人になるため、集める戸籍がかなりの数になります。

日々の生活でお忙しい方々が相続手続に必要な戸籍の収集作業を行うことで、かなりの手間や時間がかかってしまい、相続手続を途中で中断して、放置してしまう方もいらっしゃいます。

このような複雑な作業は、費用は掛かりますが専門家である行政書士に依頼することで、相続人のご負担の軽減になり、その後の相続手続に関する作業をよりスムーズに進めていくことができます。

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